無印良品が不調すぎる。2022年第3四半期 決算を受けて。

この記事では7月に公表された2022年第3四半期 決算を読み解いていきます。

第3四半期決算発表。苦境と反省の弁。

二度の下方修正を経て第3四半期決算。

ざっくりまとめると

  • 店舗数増加によって売上は増えたものの、営業利益は約半減と大幅にダウン
  • 利益減の原因は、①衣料品不調による値引き販売、②円安、③中国のロックダウン、などなど
  • 特に衣料品の不調が深刻な問題

と苦境がはっきりわかります。

で、決算資料はそこから「現実と重点課題」という反省のパートに移りまして

  • 今期、業績は低迷。
  • 特に国内が低迷。
  • 既存店前年比は上期95%、2月90%、3月90%、4月良品週間前約90%、5月良品週間後約90%、6月88%。
  • 国内は「既存店前年比90%」が現在の実力
  • 中国大陸も不振。
  • 既存店前年比は、上期93%。第3四半期はロックダウンで65%。
  • 過去3年継続的に行ってきた、価格見直しによる売上増大効果が、止まった、という状況。

国内は前年比90%の売上しか出せないほどの実力ということです。

  • 収益性は計画より悪化。
  • 「無印良品週間」への極端な売上集中。
  • 不振の衣服処分のための大規模値引。
  • 急激な円安進行と、輸送費の急上昇による原価上昇
  • 売上成長を上回るシステム運用費。
  • 物流費の増大。

これらが不調の要因です。

そしてこう続きます。

第二創業では、この状況を根本から打破し、事業構造をつくり変え、再び成長軌道に乗せる。

いや、第二創業もう始まってたやんって思うけど(笑)

第二創業のポイント:
厳しさを増す経済環境下、更にはサステイナブルを追求する社会の中で、無印良品の原点に戻り、お客様と共に自由な発想で生活を再点検することを通じ、商品を簡素化、更に、世界中の暮らしの知恵を新しい暮らしにとりいれ、日常生活の喜びや楽しさの発見や共感に繋げていく。
この様なブランドポジションへ転換する事で、ニッチではなく、多くの普通のお客様の日常生活にしっかり役に立つ無印良品を再構築する。
キーワードとしては、“価格大切”、“品質当然”、“環境大事”、そして、“引き算のクリエイティブが誇らしく楽しい”、こういった言葉をもとに、生活者の味方となる事業を作り上げる。

抽象的で行っていることが難しいですが、

  • 一部の人にしか響かないニッチな商品の販売を抑制
  • 「わけあって安い」に代表される無印良品の原点に立ち返る

ということのようです。

収益性の強化というところでは、

  • 当初目論見は、価格を下げ、売上を向上させ、経費効率をよくして、利益率を確保する、ということ。
  • 現実は、価格見直しによる売上向上は飽和、粗利率が下がり、固定経費率が上がったことで、収益性が悪化している。
  • 価格見直しだけでは、これ以上の顧客創造は難しい。

ということで値下げして売上を増やそうとしたが、もう限界どころかむしろ悪化しているとのこと。

  • 小手先の店内販促や、小手先の価格施策では、商品の価値は伝わらず、顧客の創造はできない。
  • 1品1品での商品力強化、1品1品での商品マーケティング強化、について、実行のスピードアップが必要。

知ってます。

重点課題としては、

① 商品力の強化。
② 生産の内製化と最小原価の実現。
③ 商品マーケティングの強化。
④ 店舗売上構造の確立。
⑤ 物流費、システム費の抜本的な効率化。

を挙げています。

重点課題① 商品力の強化

  • 「究極に引き算され、完成された、質の良い定番商品」
  • 「世界中の暮らしの知恵から学び、わけあって安い、を実現した商品」
  • これらを、収益性の十分な新商品として、秋から、続々導入する。

質の高い「定番品」を重視する立場ですね。

秋から衣服を中心に変わり始め、生活雑貨も春から本格的に変わり始める。定番商品をしっかり作るとともに、世界の知恵から学んだ”わけあって安い”商品の両面で商品力を高める。価格については、既存商品は価格を維持する一方で、新商品は素材もデザインも異なるため、価格帯の幅を広げ、商品全体で打ち出していく。

さて、これはどう解釈したら良いでしょうか。より高品質・高価格の商品を売るということかもしれません。

為替、原材料高の影響が大きい衣服は、秋冬から新商品を投入し、商品を入れ替えていく。昨年不振だったユニセックス商品を取り止め定番商品を中心とした商品展開を進める。生活雑貨も、秋から春にかけて、少しずつ新商品を増やしていくことで、為替、原材料高の影響を抑えていきたい。

定番商品を重視する販売ですね。個人的にもユニセックスはよくわからなかったし、違う気がする。

これまでの新商品は新カテゴリー中心で当たり外れも多かったが、秋冬からの新商品は定番商品中心に切り替える。そのため在庫が多少残っても、値引き処分の必要がなく、大きな懸念はない。

まあ、南氏のように定番品回帰に否定的な見方もあり、衣料品の復調は遠いのかもしれません

個人的にも最近の無印良品の服はあまり買っていませんね。

重点課題③ マーケティングの強化

  • ブランドコミュニケーションだけでなく、商品マーケティングを開始する。既存の強い商品群、強い単品から、ポジションを獲得する。
  • 広告宣伝に、売上対比2%程度の経費をかける。デジタルをフル活用する。値引低減、物流費削減などから捻出する。

これからネット広告での商品宣伝をバンバンやっていくのかもしれませんね。

重点課題④  店舗売上構造の確立

  • 生活圏600坪店舗にて、売場面積を有効活用し、日用品商品群の売場拡充、コミュニケーション強化を進め、月坪売上を向上する。
  • 不振の都市型店舗のポジショニング、都市のチャネル戦略を見直す。広域からの集客を前提とする都市型店舗、および、駅前や住宅街立地で日常使いとなる店舗、のモデルを開発する。

ということで、東京・大阪など都市圏の中途半端な店舗にはメスが入るかもしれませんね。

一応ポジティブなニュースも

  • 生活圏への店舗開発は順調。来期、80店舗強の生活圏出店を確保。
  • 家賃は低く、収益性はよい。ただし、生活圏店舗が月坪売上10万円程度に留まっている。拡大した売場面積が十分活用できておらず、日常生活の基本全体を支える店には到達していない。
  • 日常使い商品の品ぞろえと、個々の商品力の強化により、食品スーパーと無印だけで日常生活が成り立つまで、月坪売上を向上することが課題。

売上は想定より物足りない部分があるにせよ、家賃が安いため収益性はむしろ良いそうです。

生活圏への急速な出店を勝手に心配していたので、そこは一安心。

おわりに

悪いニュースばかりでした。

円安や中国ロックダウンは一時的な問題でしょうがないとして、衣料品の不振は無印良品人気の根幹に関わる深刻な問題だと思いました。

衣料品については抜本的に見直す時期に来ているのかもしれません。

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