科学的メソッドで体調を改善?「最高の体調」をレビュー!

著者はサイエンスライターで、健康に関する多数の論文を読み込みブログに綴っていることでも有名です。

本書は体調改善についての科学的メソッドをまとめた、という触れ込みです。

大きな主張

「狩猟採集時代の生活に戻った方が体調が良くなる」というのが本書のざっくりした主張です。

狩猟採集時代に合わせて人間の心身が作られたので、そこに合わせることで体調が良くなるということです。

で、そのためにメソッドとして

  • 食事
  • 環境
  • 運動
  • 人間関係

などについて解説しています。

各論(自分の印象に残ったものを抜粋)

以下に、個人的に印象に残った事項に羅列します。特に良かったものを太字で。

  • トランス脂肪酸は体にすごく悪い
  • 腸内細菌が減ると「リーキーガット」が起こり、謎の疲れやアレルギーを引き起こす。
  • 食物繊維は腸内細菌のエサになるのでとったほうがいい。
  • 発酵食品や腸内細菌サプリは腸内環境を改善する。アレルギーに効果があることも。
  • ファストフードは食物繊維が少なく腸内環境に良くない。
  • 孤独は健康に非常に悪い。友達を作ろう。
  • 自然との触れ合いは心身ともに良い影響をもたらす。公園でもよい。(しかし海外の研究なので日本の公園で良いかというと・・・?)
  • 年に3,4回はキャンプなど自然の中で過ごすと良い
  • 睡眠不足を感じるときは15分~20分程度の昼寝がおすすめ
  • ウォーキングでストレスは激減する
  • 家事をマインドフルに行うだけでも不安は減っていく(例えば五感を研ぎ澄まして皿洗いするなど)

本書を読んで私が実際に行動したのは、

  • 在宅勤務の日に朝自然の近くでウォーキング/ランニングするようにした
  • マインドフルに家事する(ひとつの作業に集中する、音楽を聞きながら作業しない)を心がけるようにした

の2点ですね。特に在宅勤務の日のウォーキングは体調不良の改善にある程度の効果があったように思うのでそれは良かったと思います。まあ私が体調を崩している時期に実践したので効果が得られやすかったのはあるかもしれません。

食事は普段から食物繊維などはとっていると思ってますし、味噌や納豆など発酵食品もそれなりに食べていますし、明確な改善ポイントが見つかりませんでした。

本書への不満

メンタル面の項目が難しい

メンタル面について後半で結構なページ数が割かれているのですが、内容が抽象的すぎてさっぱりわからん。「価値が定まれば不安を感じることはない」みたいな、それ何?という感じで、あまり実践的とは思えませんでした。

「具体性」の無さ

トランス脂肪酸が体に悪いよ~という書き方をしています。

近代の発明は山ほどあるものの、なかでも人体への被害が大きいのは「トランス脂肪酸」でしょう

(中略)

総摂取カロリーのほんの1%をトランス脂肪酸に入れ替えただけでも、悪玉コレステロールの数値は激増します。

ちなみにトランス脂肪酸はマーガリンなどに入っています。

でも確か、日本人の生活ではトランス脂肪酸を取りすぎるということは無い、という理由から特に規制されたりはしていないと思うのですけど、そこのところどうなんでしょうか?本書の書き方だと、マーガリンを摂取して「ほんの1%」カロリーが置き換わると・・・という意味に取れてしまうのですが、そこのところは書いてありません。

こんな感じで怖い感じで書いてあるのによく読んでみると具体的なことが書いてないな、と思うところが多数です。

科学的に確立されているわけではない?

「論文中のコメントや示唆」の引用が多いです。論文中のコメントというのはエビデンスがなくても言えて、「こういう可能性もあるよ」という程度のものだと思います(確度が高いものもあるかもしれないけど)。だから科学的に実証されました、みたいな感じではないです。

わかっていることだけを並べたに過ぎない?

体調について科学でだいたいわかった、みたいな印象を与えるが、実際には本書は科学的に実証されたごく一部を述べているに過ぎない。実際にはこれからもっと重要な因子が見つかるかも知れないが、とりあえず現時点で実証されたことについて述べただけ、であると思う。

「実践」の薄さ

本書では章ごとに、「このように実践しましょう」というまとめのページがあるのですが、実際にやる上でコストなどのハードルがあるのでそれも含めて解説してほしいところ。

例えば、食物繊維やプロバイオティクスのサプリを飲む、ということに関してはだいたい費用が月いくらかかるかとか教えてほしいところ。また、併用してもよいのかも気になる。もしも本書で紹介されたサプリを全部飲んでたらサプリ漬けですよ本当に。

友人の項目では、「同期行動:ランニングクラブ、合唱部、楽器のサークルなど、だれかと同じような行動を取れるようなコミュニティに参加してみましょう。」と書いてあり、いや、こっちはコミュニティ活動が苦手なんだが?と思っちゃう。そういう人も多いと思うんですよね。

また、「夜はスマホを見ない」というのもハードルが高い(難しい人多いでしょ?)ので、スマホ充電スタンドをここに作って、部屋を暗くして読書でもして・・・とかそういう手順を示してくれてもよいと思うのですが。「夜はスマホを見ない」だけ言われても厳しい。

その上で著者は実際にどうしているのか?何に苦労したか?という具体的なこと、あるいは著者のパーソナリティの部分を見せてもよいと思うのですが、それが全く無く「本書で紹介するメソッドを実践した結果、痩せて健康になり仕事の生産性もあがった」というきれいな筋書きに収めてしまうのは残念です。著者の誠意の無さが見えるなあと思っちゃうわけです。物知りだけど無責任な友人にアドバイスされている気分。DaigoのYoutubeを見たときのモヤモヤ感にも似ています。

読んで損はないので気になった方はどうぞ。

色々不満を書いたものの、体調に不安を感じる人は読んで損はない本です。過度な期待をせず一読するのをおすすめします。

ちなみにAmazonのレビューも私と同じような感想の方はたくさんいますので、ぜひ読んでみてください。
ま、読者に寄り添って実践方法を詳しく書こうと思ったらこんな内容の本書けないわな。

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